ご相談背景
グループ本社および複数の国内外拠点を有する大手企業において、内部監査部門は多岐にわたる監査アジェンダ(本社管理部門の監査、国内外拠点に対する監査、情報管理監査など)への対応を求められていました。
しかし、監査リソースの制約や、対象業務の専門性の高さ、監査対象の広範性などにより、個別テーマへの深度ある対応が難しくなっており、監査実施の優先順位付けやスケジューリング、スコープ設計に苦慮しておりました。
特に、情報管理の分野ではリスク評価や監査基準が曖昧で、適切な評価軸をもとにした実効性の高い監査を実施するノウハウが乏しく、専門家による計画設計および現場支援の必要性が高まっておりました。
このような背景から、対象領域ごとに専門性を持つ外部専門家の協力を得て、監査体制の機能強化を図るべく、支援を検討するに至りました。
実際に対応した内容
本支援では、本社監査部門が抱える多岐にわたる監査アジェンダに対応すべく、各領域で併走型の支援を行いました。本社管理部門に対する監査では、部門ごとの業務内容の理解、管轄職掌範囲を整理し、リスク評価や確認手続の標準化を進め、改善が必要な領域を識別しました。また、一部の海外子会社に対しては、現地往査に同行し、業務理解やヒアリング、証憑確認、論点整理に至るまで現場での監査実行を支援。異文化や現地特有の商習慣を踏まえた実効性ある監査の実現に貢献しました。その他の国内外拠点については、資料レビューや論点整理、インタビュー準備を中心にリモートで支援し、監査メンバーが現地で主体的に対応できる体制づくりを後押ししました。さらに、情報管理領域では、監査部門として対応すべき監査領域を整理し、連携し、アクセス管理やIT統制などのリスクに即した評価項目の設計と、監査アプローチの策定・実行支援を通じて、分野横断的な監査精度の向上に寄与しました。
対応成果
本支援により、属人化しがちだった監査アプローチが体系化され、部門横断的な論点整理や改善提案の質を向上させることができました。情報管理の監査では、評価基準が曖昧だった従来の監査に比べ、統制実態とリスク特性に即した指摘と改善提案が可能となり、第二線・情シスとの連携による部門間の共通理解の醸成にもつながることとなりました。また、これらを通じて、監査部門内の知見蓄積とスキル向上が進み、今後の他領域への応用力も強化されました。
今後の展望とまとめ
本事例のように、グローバル企業の本社監査部門が抱える監査アジェンダは多岐にわたり、社内のリソースだけでは実効性のある監査を遂行することが難しいケースも少なくありません。
弊所では、会計・税務、ガバナンス、リスク管理、コンプライアンスなどの分野において国内外で豊富な支援実績を有する専門家を中心に、各分野の専門家との連携を通じて、貴社監査部門の取り組みを伴走型で支援いたします。