ご相談背景
グループ本社および複数の海外拠点を有する大手企業において、海外拠点での不正・不適切事案の発生を契機に、グループ全体のガバナンス体制の実効性に対する懸念が高まっておりました。
あわせて、現地従業員へのアンケート結果からは、各拠点におけるガバナンス環境の悪化が示唆されており、現地の運用実態を踏まえた課題の可視化と、実情に即した対策の検討が喫緊の課題となっておりました。
こうした背景のもと、組織横断的かつ実効的なガバナンス強化を継続的に推進していく必要性が認識され、より本質的な対応を講じるため、外部専門家による支援を検討されておりました。
実際に対応した内容
従業員アンケートの結果をもとに、回答内容を拠点別・リスク類型別に詳細に分析し、識別された課題を「緊急的に対応すべき事項」と「継続的に対応すべき事項」に分類・整理いたしました。
緊急対応が必要と判断された領域および拠点に対しては、優先的に現地従業員向けのコンプライアンス研修を実施し、初期対応としての意識醸成と注意喚起を図りました。
その後、継続的な対応が求められる課題については、アンケートで顕在化した論点を起点に、現地法人の管理者・従業員への追加ヒアリングおよび内部統制の実態評価を実施しました。また、組織環境や制度設計に起因するリスクを可視化し、拠点ごとの改善計画の策定につなげるための基盤整備を支援しました。
対応成果
抽象的で捉えづらかったガバナンス・コンプライアンス上の課題を、従業員アンケートや管理職へのヒアリング、内部統制の実態評価といった多面的なアプローチを通じて具体化することで、対応すべき論点が明確に整理されました。
これにより、グループ本社管理部門が優先的に取り組むべきタスクや、各拠点に対して求められる対応内容が可視化され、組織横断的なガバナンス体制の強化に向けた実効的な第一歩となりました。
今後の展望とまとめ
本事例のように、グローバルに拠点を展開する企業においては、各地域におけるリスクの特性や運用実態を適切に把握し、課題の解像度を高めたうえで対応策を講じることが、実効性あるガバナンス体制の構築には不可欠です。
弊所では、国内外の企業に対する豊富な支援実績を有する専門家を中心に、現地の業務環境や文化的背景を踏まえたリスクの可視化と施策設計を通じて、貴社のグループ全体におけるガバナンス基盤の強化を伴走型でご支援いたします。